とはいえ、すべてのケースで、対象の見た目を変化させられるわけではありません。

生物の見た目を変えるのには限界がありますし、モノやロボットでも、デザイン・設計を根本的に変えることは簡単ではありません。

では、対象の見た目を変化させなくても、より「かわいい」と感じさせることは可能なのでしょうか。

塩見氏ら研究チームは、同じ見た目のロボットを複数使った実験で、「かわいい」という感覚をアップさせる新たな要因を発見しました。

つながりのある2台のロボットが最も「かわいい」

 

ただ並んでいるよりも、つながりがある方が「かわいい」と感じる!?
ただ並んでいるよりも、つながりがある方が「かわいい」と感じる!? / Credit:塩見 昌裕(ATRインタラクション科学研究所)_1人よりも2人のほうが「かわいい」?対象間のつながりが見えると人はよりかわいいと感じる~複数で活動するロボットの振る舞い設計に貢献~(2023)

研究チームは、見た目以外の「かわいい」と感じる要素の探求を続ける中で、数と関係の効果に着目しました。

例えば、1粒のサクランボよりも2粒のサクランボが房でつながっている方が「かわいい」と感じられます。

また動物の赤ちゃんが1匹でいる場合よりも、複数の動物の赤ちゃんが楽しそうにじゃれ合っている様子の方が、「かわいい」と感じるはずです。

そこで彼らは、複数の対象につながりがあると、人はその対象を「かわいい」と感じるのではないか、という仮説を立てました。

この仮説を検証するために、まず人、モノ、ロボットの数が「かわいい」と感じる度合いにどのように影響するか、201名にWEBアンケートを取りました。数と関係のパターンは次の通りです。

  • 数が1の場合
  • 数が2でただ並んでいる場合
  • 数が2でつながりを感じさせるように並んでいる場合
人、モノ、ロボットの画像(写真)を使った調査。「2人(2つ)でつながりがある」ケースが最もかわいい
人、モノ、ロボットの画像(写真)を使った調査。「2人(2つ)でつながりがある」ケースが最もかわいい / Credit:塩見 昌裕(ATRインタラクション科学研究所)ら, PLOS ONE(2023)