独週刊誌シュピーゲル3月15日号は中国武漢から発生した新型コロナウイルスの発生源問題でドイツ連邦情報局(BND)が保有する機密文書、資料について「研究室のドアの後ろでスパイ」(Spionage hinter Laborturen)という見出しで報道している。

ドイツの著名なウイルス学者クリスティアン・ドロステン教授(独日刊紙ターゲスシュピーゲル電子版12月26日から)
シュピーゲル誌によると、BNDは今年1月第2週、ドイツ国内のウイルス専門家を呼び、BNDが保有している武漢ウイルスの起源に関連した資料、文書を説明した。そのゲストの中にはドイツの著名なウイルス学者クリスティアン・ドロステン教授(シャリテ・ベルリン医科大学ウイルス研究所所長)も含まれていた。
専門家たちは説明を受ける前に「今回聞いた情報は絶対に部外者に語ったり、公表しない」と記述された文書に署名することを求められた。その後、BNDの説明が始まったが、そこには驚くべき内容が含まれていたという。説明の際、グラフや図表も利用された。ただし、その資料のルーツについては何も説明されなかったという。
ドイツの情報機関BNDは2020年初めにコロナパンデミックの起源に関する機密資料を入手していた。それらの情報に基づいて、BNDは中国・武漢ウイルス研究所(WIV)での事故が世界的なコロナパンデミックの原因である可能性が高いと結論を下した。BNDによると、武漢ウイルスの起源は「80%から95%」、WIV発生説が正しいというのだ。
根拠となったのは、公的なデータの分析に加え、「サーレマー」(saaremaa)というコードネームで行われた情報機関の極秘作戦で入手した資料に基づくものだった。資料の中には、中国の研究機関、特にウイルス研究の最先端機関である「武漢ウイルス研究所」からの科学データが含まれていた。また、自然界のウイルスを人為的に改変する「機能獲得(Gain-of-Function)」実験のリスクに関する証拠や、研究所の安全基準違反を示す多数の資料も含まれていたという。