さらに運転を止めるだけでは発電所を維持するコストがかかるので、石油火力の発電所そのものを廃止しています。しかし発電所を廃止してしまうと、将来石油の値段が安くなっても活用することができません。
次に石炭です、発電電力量あたりのCO2排出量が多いという問題があります。様々な業界あげて、「パリ協定」を神様のようにあがめてしまって、3大メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)は新規の石炭火力案件には投資しないとしています。また、大手商社も新規石炭火力事業には取組まないことを表明しています。なんか極悪人扱いです。石炭火力も休止、廃止の方向です。まだ十分運転できるのに廃止してしまっている発電所も出てきています。
第7次エネルギー基本計画でも2040年は火力発電が3~5割を担うとなってます。実際にはもっと多いでしょう。このまま、石油火力、石炭火力を廃止して、LNG火力ばかり建設していくと、1975年の64%を占めていた、石油火力がLNGに置き換わっただけで、単一の燃料で火力発電の大部分を占めるという状況は1970年代とあまり変わらなくなってしまいます。
火力発電の燃料の輸入先は
火力発電の主な燃料である、石油、LNG、石炭の輸入先を見てみます。石油は中東の依存率が高いのに対して、LNGや石炭は政情の安定しているオーストラリアの比率が高くなっています。
たしかに燃料を安定して調達するためには、できるだけ政情の安定した国の比率を高めることが大切です。オーストラリアは政情が不安定ではありませんが、労働党政権が2030年再エネ80%をコミットしたり、グリーン水素の推進などしています。外国にも化石燃料は使わせないという政策をとれば、日本の輸入も大きく影響することが考えられます。

図2 日本の化石燃料輸入先財務省貿易統計より
石油を消費するといっても燃料はC重油か原油
今度は、石油火力の燃料を見てみます。火力発電の燃料は、石油といってもC重油という油をつかます。一般の方にはなじみが薄いと思いますが、C重油とはほとんど火力発電か船舶の燃料として使われます。