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交通社会が抱えるロードキル問題
動物を轢いたときの対処法
交通社会が抱えるロードキル問題

動物が死亡する交通事故を「ロードキル」と呼びます。ロードキルは交通社会が抱える問題といえますが、自動車業界にとっても解消すべき課題となっているようです。
次にご紹介するプレスリリースは、ロードキル問題に対する自動車業界の動きを伝えるものといえるでしょう。
ロードキル根絶を目指すプロジェクト
2025年3月3日、動物愛護に関する新たなプロジェクトが開始したことを、日産自動車の日本マーケティング本部がプレスリリースで発表しました。
新プロジェクト「NISSAN ANIMALERT PROJECT(日産アニマラートプロジェクト)」は、車両接近通報装置の流用によりロードキル根絶を目指すもので、その第1弾としてアマミノクロウサギ(絶滅危惧種)の保護を目指しています。


こちらのプロジェクト立ち上げに先行して、日産ではロードキル対策の実験を進めていたようです。たとえば2024年12月からは、テストデバイスが搭載されたEV(日産 サクラ)による走行実験を奄美大島で開始しています。
実験の成果もすでに現れており、テストデバイスが発する高周波音によって、アマミノクロウサギが逃げ出すことを確認できているとのこと。今後のプロジェクト進展による、新たな成果の発表が期待されます。
ロードキルは全国で起きている
日産のプレスリリースには、「NISSAN ANIMALERT PROJECT」に先駆けて調査したロードキルのデータも掲載されています。

こちらの画像に並んだデータは、国土交通省と環境省の資料をまとめたものです。3つのデータのうち、1年間に発生するロードキルの件数は、全国のドライバーに関係のある数字といえるでしょう。
2022年度のロードキル件数は、国道では7万件、高速道路においては5.1万件。年間のロードキル件数が約12万件ということは、毎日300以上の動物の命が車に奪われている計算になります。
これだけロードキルが発生しているなら、その当事者になる可能性はすべてのドライバーにあるといえるでしょう。では、動物を車で轢いてしまったときは、どのように対処すればいいのでしょうか?
動物を轢いたときの対処法

動物との交通事故は、法律的には物損事故として取り扱われます。れっきとした交通事故ですから、発生したら安全な場所に停車したうえで、警察に報告しなければなりません。
警察への報告を終えたら、道路緊急ダイヤル「#9910」にも連絡して、動物との接触事故が起きたことを報告しましょう。
なお、高速道路で動物を轢いた場合は、非常駐車帯や路肩に停車して、ガードレールの外に避難してから警察への連絡を行ってください。後続車に追突される危険性があるため、車内には残らないようにしましょう。
轢いてしまった動物はどうする?

車で轢いてしまった動物の扱いについては、警察または、道路緊急ダイヤルの担当者の指示に従うことになります。通常の事故であれば、まず被害動物の生死を確認して、状況に応じた対処を取る流れになるでしょう。
動物が生きている場合の対処法
車で轢いた動物が生きているケースでは、動物病院や保護施設への搬送を指示される場合があります。
搬送に際しては、感染症を防ぐために、動物を素手で触らないようにしなければなりません。ダンボールやタオルなどがある場合はこれらを使い、動物に直接触れないようにして運ぶとよいでしょう。
動物が死亡している場合の対処法
車で轢いた動物が死亡している場合は、路肩など通行の妨げにならない場所に死骸を移動させる必要があります。このときもタオルやダンボールなどを使い、動物に直接触れないようにしましょう。その後の処理は自治体や道路管理者が行ってくれます。
大型動物との事故では車もダメージを受ける

車と事故を起こす動物は、犬やタヌキのような小柄な動物とはかぎりません。たとえば、筆者の友人は愛車でシカと衝突しています。もう20年ほど前の話ですけどね。
そのとき友人が乗っていた車はマツダ RX-7でしたが、事故後はボンネットが大きく凹み、シカの毛が付着してケモノ臭くなっていました。結局そのRX-7は廃車になったと記憶しています。
このように、大型動物と衝突すれば車もダメージを受けるわけですが、修理できるとしても相応の費用がかかります。
そこで思いつくのが保険の利用。動物事故で破損した車の修理に、自動車保険を使うことは可能なのでしょうか?