動物の戦いといえば、牙や爪を剥き出しにした血みどろのバトルを思い浮かべるかもしれません。
しかし、アフリカのサバンナに暮らすキリンたちは、なんと優雅で儀式的な戦いを繰り広げているのです。
その戦いはまるでフェンシングや剣道のように、礼儀と様式美にあふれたもの。
これは「ネッキング(necking)」と呼ばれる行動であり、オス同士が首を鞭のように振り回し、互いの胴体に打ち付け合います。
このキリンたちの不思議な戦いの作法について、動物行動学者や野生動物研究者たちの観察を紹介します。
目次
- 首で戦うキリンたちの「ネッキング」とは
- キリンたちはフェアプレイを好む
首で戦うキリンたちの「ネッキング」とは
キリンは地上で最も背の高い動物であり、成獣の平均体高は4〜6メートルに達します。
その中でも際立って目立つのが約2〜2.4メートルにもなる長い首です。
この長い首は高所の葉を食べるためのものだと考えられてますが、実は、もう一つの重要な役割を持っています。
それが「武器としての利用」です。
オスのキリンは、繁殖期になると交尾権をかけて他のオスと戦います。

その際に行われるのが「ネッキング(necking)」と呼ばれる行動です。
これは一方のキリンが首を大きく振り、首や頭部を鞭のようにしならせて相手の胴体や首に叩きつけるという戦いです。
低強度のネッキングでは、体をこすり合わせたり、寄りかかったりして、「どちらが直立した姿勢を保てるか」といった押し相撲のような勝負を行います。
一方、高強度のネッキングでは首を大きく振り回し、激しい打撃戦に発展する場合があります。
