当時、大手が説明会などで500人くらい学生を集めると、たいてい中に10人くらいは既卒者がいましたね(前年度に内定がとれないまま卒業した人)。
でどうするかというと、担当者が「既卒者の方、あと4年生大学以外の方はこちらへどうぞ」といって別室に案内し、「本日は大卒予定者向け説明会です。皆様につきましては採用の方針が決まり次第別途連絡差し上げますので、今日のところはこちらにお名前と連絡先をご記入の上お帰りください」
と言って帰宅させるわけです。
連絡ですか?しませんね。でも嘘はついていません。単に彼らに対する採用方針が決まらなかっただけで。
新卒一括採用を辞めるというのはそういう杓子定規な対応を辞めるということで、既卒者やなんだったら短大、専門学校卒もウェルカムで、年齢ごとに一律の処遇に決め打ちするのを辞めますよ、ということなんです。
実際に新卒一括採用を廃止してみると、気持ち既卒者や3年以上寄り道している人、あと文系の大学院生が増えたかな、くらいで傍で見てる分には従来の新卒採用とほとんど違いはわからないでしょう。
処遇についても、おそらくほとんどの人材は横並びに設定され、ごく一部の優秀者のみ(それも恐らく理工系の修士以上)初年度600万円以上からスタートという形になるはずです。
筆者は、むしろ重要な変化は組織の中で起きると考えています。それは一言で言えば、採用権の移譲です。
従来の新卒一括採用というのは、実は企業の側に非常に大きなメリットがあったために長年続けられてきたものです。
そのメリットというのは「どこに誰を配属するのかをいちいち考えずに短期間のうちにまとめてどかっと採れること」です。
一方で「この人物は○○の職に採用できるか否か。また採用できるとして、果たして処遇はどの水準が適切なのか」と一人ずつ判断しなければならないとなると、これはとてもじゃないですけど人事部の手に負える仕事ではないです。