マーケティング、つまり商品開発において日本は海外に比してユニークか、と聞かれたらユニークな面もある、と答えます。その1つの理由はコンビニやスーパーに行けば新製品の嵐だから、と申し上げます。これが良いか悪いかは別の判断ですが、このあたりを少し考えてみたいと思います。

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日本に年に4回程度行く私が買い物ついでに生活調査でスーパーなどを丹念に見ていると「へぇ、こんな商品が出たんだ」と思わず手に取ってみることもあります。ただ、買うかといえば動機がないので買うことは少ないです。一方、ビール売り場では飲む動機があるので正直、悩みます。どれを買ってよいかわからないのです。次々新製品が出るので試してみよう、とひと缶購入、また次回も違う種類をひと缶購入…を繰り返していくと滞在期間中に同じ種類のビールに戻ってこないのです。
日本には大手のビール会社は4つです。しかし、各社が様々な戦略をし過ぎることで消費者を惑わし、不人気な銘柄はすぐに棚から降ろされます。つまり、「あれ、おいしかったよな」と思った商品は次に日本に行ったときにはもうないのです。
なぜこうなるのか、これは作る側と買う側の両面に理由があります。まず、作る側は同業他社の動向をつぶさに研究しています。「向こうがそう出るなら、うちはこうだ」と勝負に挑むのですが、定番に近い長寿商品になるのは1-3%程度とされます。つまり100の新製品のうち、残るのは2つ前後です。もちろん、作る側からすれば損失もあるでしょう。しかし、何もしないとライバルに抜かれるという危惧、まるでセロトニンが足りない経営者のように「何かしないと弊社は存続の危機にある」ぐらい煽るわけです。
一方、買う側は目新しいものへの興味だと思います。そしてスーパーやコンビニの「棚競争」もあります。目線に最も入りやすい高さの棚は最も売れる商品、そして棚の位置で商品の売れ行きは大きく変わるともされ、メーカーは必死で棚競争に挑むわけその一環で新製品、目立つパッケージで客目線を引くことに最大の注意を払っているわけです。