雨水の集め方
パースから離れた小さな町では、各町が自力で水を集めて住民に水道を提供しています。だいたいが地下水と雨水で、それを殺菌装置に通してから各家庭に送っているわけですが、雨水がどうやって集められているのか紹介します。
屋根を使う
最も一般的な方法が屋根を使う方法です。
屋根に降った雨水が雨樋をつたってパイプを通って雨水タンクに溜まる仕組みです。

屋根の表面積が広ければ集められる雨水の量が増えるので、貯水量を増やすことを目的として倉庫を新しく建てることもあります。
岩を使う
岩と言っても表面積の広い巨大岩です。私がこれまでに訪れたことがある貯水に使われている岩はウェーブロックとベリンブーティングロックです。

<ウェーブロック>
屋根と同じ原理で、斜面をつたった雨を最終的に貯水池に溜めるという方法です。屋根とは違って人間が作ったものではないので傾斜が一定ではありませんが、ところどころに塀を造って水の流れを操作しています。

<ベリンブーティングロックの上の塀>

<塀によって雨水が貯水池に流れるようになっている>
ウェーブロックに訪れた際の記事に詳しいことは書いていますので、興味のある人は読んでみてください。
防水シートを使う
岩のように天然の防水で表面積の巨大なものがあればいいですが、残念ながらどこにでも存在するものではありません。ならば、人工で作ってしまおう!となって考えられたのが防水シート作戦。

<緑の部分が防水シート>
写真を見ても想像がつきにくいと思いますが、緩やかな傾斜に防水シートを張ることで水を集めているのだとか。この写真は私の住む隣町で撮ったものですが、初めて見たときはそのアイデアが信じられませんでした。
しかし、乾燥した土地では地面がカラカラに乾いているので、少しの雨だと地面に吸い込まれて溜まることがないので、理由を聞いて納得できました。
岩や防水シートを使うエリアになると乾燥がひどいので、ほとんどのところでは地下水は塩水になって飲めるものではありません。つまり、本当に雨水に頼るしかない生活なのです。
水道の通っていない暮らし
前章で紹介した水は自治体が責任を持って殺菌してから地域住民に届けられるわけですが、水道管が通っているのは基本的に町の中心部に近い家だけです。つまり、町から離れて暮らす人は個人宅で水を集めないといけません。
まさに私の暮らしがそうで、雨水を飲んで生活をしています。うちには広い倉庫があるので、その屋根を使って23000リットルの雨水タンクが3つ分の雨水を溜めています。

<赤枠が倉庫、青丸が雨水タンク>
4人家族が1年間に必要な水は最低でも17000リットルと言われていますが、この水が尽きたらあとがないので念には念をと多く溜めるものです。事実、ここ数年は干ばつで降水量が例年の半分なので助かっています。
うちの場合は網戸ていどのフィルターで濾しただけのものを飲料水として飲んでいますが、お腹を壊したこともないですし、むしろほんのり甘味があって美味しいです!

実は田舎の方だと空気がきれいなので、水道水が通っていてもあえて雨水を飲んでいる人もいます。というのも、やはり科学的に処理された水は味や匂いが気になる人もいるようです。また、あまりにも田舎だと水道が通っていたとしても水道管が古くて水質が悪いこともあるのだとか。
実際に、飲料水だけは雨水にしている学校もあるくらいです。(学校などの公共施設の場合はUV殺菌をしています。)また、都市に近い方でも水道代を浮かせるために、洗面所やガーデン用にと小さめの雨水タンクを設置している家も多くあります。
雨水タンクの設置に政府からの補助金が出ることもあり、雨水の利用は国を挙げて推奨していることでもあるのです。
