研究チームは今回、アメリカとオランダの約1500人を対象に、3つの異なる調査を実施しました。
第1の調査では、米国の大学生を対象に「どのくらい懐かしさを感じるか」や「友人との関係をどれくらい大切にしているか」などを尋ねました。
その結果、懐かしさをよく感じる人は友人関係を維持することを重視しており、実際に「親しい友人の数」も多い傾向にあることがわかりました。
第2の調査では、アメリカ在住の一般成人を対象に同様の質問を行い、さらに性格特性(ビッグファイブ)などの影響を取り除いたうえでも、同じ傾向が見られることを確認しました。
そして注目すべきは、第3の調査です。
これはオランダで7年間にわたって行われた追跡調査で、「懐かしさをよく感じる人」と「感じにくい人」とで、親しい関係の変化を追跡しました。
その結果、懐かしさのスコアが高い人は追跡期間の7年が経っても親しい友人の数を保っていたのに対し、懐かしさのスコアが低い人は7年間の間に親しい友人の数が約18%減少していたのです。
人とのつながりは、歳を取れば取るほど自然に減っていくものですが、懐かしさがその減少を防いでくれる「感情的なセーフティネット」のように働く可能性が示されました。

研究者たちは、懐かしさが「新たな関係を作る」よりも、「すでにある関係を大切にする」動機を強めることに特に注目しています。
確かに、懐かしい記憶を振り返ると、「あの人に久しぶりに連絡してみようかな」と思うことがあるのではないでしょうか。
まさにそれこそが、懐かしさの持つ“社会的な推進力”です。
この研究では「人間関係を維持したいという気持ち」が、実際に親しい関係の数を増やす間接的なメカニズムであることが統計的に検証されました。
しかもこの効果は、年齢や性格の違いとは無関係に現れており、誰にとっても有効な「関係維持の心のツール」と言えそうです。