このように、欧州におけるEV市場は「政策目標」と「市場現実」の間に乖離が生じており、消費者の負担増、企業の損失拡大、安全性への懸念といった複合的な要因が絡み合って普及を妨げている。持続的なEV普及を実現するには、政策の柔軟性、経済的支援、安全技術の向上といった多角的な取り組みが不可欠である。

以上をまとめると、

2024年8月のEV新車販売:ドイツで約70%減、フランスで33%減。 ACEAは排出規制の延期をEUに要請。大手自動車メーカーも支持。 ノースボルト社は工場拡張を中止、1600人の雇用喪失。 英国では中古EVの価値が大幅下落し、リース業者に損失。 政府の規制延期と補助金不足が市場に悪影響。 古いEVのバッテリー性能劣化が中古市場にブレーキ。 英国ではEV関連の電池火災が前年比46%増加。 今後のEV普及には、現実的な政策、経済支援、安全対策が不可欠。

日本政府への勧告:EV政策の見直しについて

市場動向の現実的評価を 欧州の事例に学び、EV販売の急減や消費者の懐疑を直視し、日本国内でも市場実態や国民の購買力、インフラ整備状況に即した柔軟な政策を検討すべき。 技術選択の多様性を確保 EV一択ではなく、ハイブリッド、水素、合成燃料(e-fuel)など多様な低炭素技術の共存を促進し、産業競争力とエネルギー安定性を確保すべき。 中古車市場とリサイクル問題への対応強化 バッテリー性能の劣化、中古EVの急速な価値下落といった課題に対応するため、再利用・再資源化の体制を強化し、資源循環型社会の基盤を整えるべき。 消費者負担軽減とインセンティブの再設計 EV購入補助や充電インフラ支援の持続可能な仕組みを見直し、長期的な社会的受容を得られるよう、段階的で現実的な誘導策を構築すべき。

欧州の政策失敗を繰り返さないためにも、「カーボンニュートラル=EV偏重」とせず、多元的かつ国益重視の視点で政策を見直すことが不可欠である。