一方、英国でもEV市場の逆風は強まっている。特に中古EVの需要が急減し、リース業者が大きな損失を被っている。リース契約終了時の想定残存価値(リセールバリュー)は従来の60%から35%にまで落ち込み、資産価値の減少が業者の収益を直撃している。

また、新車を購入する消費者にとっても、EVは内燃機関車(ICE)より1万ポンド(約190万円)以上高価であるうえ、将来的な下取り価格も低いため、コスト面での魅力が著しく低下している。

こうした中古市場の停滞には、英国政府の政策転換が影を落としている。政府はガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止時期を2030年から2035年へと5年延期したが、これによりEVへの移行機運が減速し、中古EV市場も冷え込んだとみられている。

加えて、中古車への購入補助金などの金銭的インセンティブが不足している点も、消費者心理の後退につながっている。さらに、古いEVではバッテリー性能の劣化が顕著で、航続距離や充電効率の低下が実用性への懸念となり、中古車市場の成長を阻んでいる。

また、安全性への懸念も高まっている。保険会社QBEの調査によると、英国においてリチウムイオン電池が関与する火災件数は、2023年に前年から46%増加した。対象は電動バイク、スクーター、EV、トラック、バスなど多岐にわたり、消防機関の出動頻度が急増している。バッテリーの発火リスクに対する不安も、EVの普及にブレーキをかける一因となっている。

UK fire services face 46% increase in fires linked to lithium-ion batteries