火星に「生命を育む環境」があった証拠
カンバーランドが採取された「イエローナイフ湾」は、かつて湖だったと考えられている場所だ。泥岩という細粒の堆積岩が広がり、水の存在を示す粘土鉱物が豊富に含まれている。また、有機物の保存に重要な硫黄や、地球では植物や動物の栄養源となる硝酸塩も検出されている。
さらに、カンバーランドには地球の生物由来メタンに似た炭素を含むメタンも見つかっている。これらの条件を総合すると、かつてこの火星のクレーターには、生命が誕生するために必要な化学反応が起こり得る環境が存在していた可能性がある。
NASAの研究者ダニエル・グラヴィン氏は、「ゲール・クレーターには数百万年以上、液体の水が存在していた証拠があり、生命の化学が進化するには十分な時間があったと考えられる」と語る。

(画像=イメージ画像 Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)