レバノンのバラマンド大学(UoB)で行われた研究によって、意外な原因がしゃっくりを長引かせていたことが明らかになりました。
しゃっくりは誰もが経験する、ごくありふれた現象です。
多くの場合、数分から数十分のうちに自然と収まり、大事に至ることはまずありません。
ところが、レバノンに住む93歳の男性の場合は違いました。
筋弛緩剤やプロトンポンプ阻害薬(胃酸を抑える薬)を使うといった治療を試し、いったんは少し和らいだものの、結局再発し、2年間もしゃっくりが止まらなかったのです。
いったい何が彼の横隔膜を執拗に痙攣させていたのでしょうか。
研究内容の詳細は『Journal of Medical Case Reports』にて発表されました。
目次
- 数分どころか2年間…こんなしゃっくりがあるのか
- 2年間止まらなかった「しゃっくり」の意外な原因
数分どころか2年間…こんなしゃっくりがあるのか

私たちが日常的に経験する「しゃっくり」は、ほとんどの場合、数分から数十分のうちに自然と治まります。
しかし、48時間を超えて続く「慢性しゃっくり」や1か月以上も途切れない「難治性しゃっくり」となると、脳や神経の疾患、代謝の異常など、思わぬ背景が隠れている可能性が出てきます。
過去には数年間ずっとしゃっくりが止まらなかったという記録もあるほどです。
一方、「好酸球性食道炎」は、アレルギー反応などが誘因となり、食道の粘膜に好酸球が多数集まって慢性的な炎症を引き起こす病気です。
若い男性を中心に、食べ物がつかえる感じや胸焼け、喉の違和感といった「食道に明らかな不調がある」とわかる症状が出るのが典型的と考えられてきました。
ところが研究が進むにつれ、「患者は必ずしも若年層だけではなく、症状にも意外な幅があるのではないか」と見直されつつあります。