とは言っても、これまでで最も大きな火星の有機化合物が見つかったという事実だけで、キュリオシティの科学者チームにとっては非常に重要な発見となります。
今回のようなより大きな化合物が見つかったことは、火星上の有機化学が「生命の誕生」に必要な複雑性へと進んでいた証拠となるからです。
それと同時に、こうした有機化合物の存在は「バイオシグネチャー(生命の存在を示す指標)」と呼ばれる、生命が存在する場合にのみ生成されるような大きな有機分子が、長期にわたって火星に保存されうることを示しています。
これは今後の調査で、火星に生命の痕跡が見つかる可能性を高めるものです。
その一方で、火星に送れる分子検出装置には限界があると科学者たちは認めています。
そこで研究チームは今後、火星のサンプルを地球に持ち帰って、より詳細に生命の痕跡を探していきたいと話しています。
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参考文献
NASA’s Curiosity Rover Detects Largest Organic Molecules Found on Mars
https://www.jpl.nasa.gov/news/nasas-curiosity-rover-detects-largest-organic-molecules-found-on-mars/
Largest Carbon Molecules Found on Mars Build The Case For Ancient Life
https://www.sciencealert.com/largest-carbon-molecules-found-on-mars-build-the-case-for-ancient-life
元論文
Long-chain alkanes preserved in a Martian mudstone
https://doi.org/10.1073/pnas.2420580122
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。