いま53歳のノーム氏は共和党の下院議員をも務めた共和党保守派で、とくに不法入国者問題では民主党バイデン政権の政策に強く反対する立場を鮮明にしてきた。「国境警備の断固たる強化」を主張して、サウスダコタ州の州兵をメキシコ国境へ派遣するという特別の措置までとっていたのだ。

さらにノーム知事はバイデン政権がベネズエラからの不法入国者約60万人に対してとっていた18カ月の臨時滞在の特別措置をサウスダゴタ州内では無効にするという厳しい措置をも打ち出していた。

ノーム氏が新長官となった国土安全保障省や国境警備を恒常的に実施する移民関税執行局(ICE)を管轄下において、メキシコやカナダとの国境の警備を強め、とくに不法入国者の入国の防止に努めている。

トランプ政権ではメキシコ、カナダとの両国境からは不法入国者とともに、主に中国で製造される合成麻薬アンフェタミンがアメリカに大量に密輸入されてきたとして、メキシコ、カナダ両政府に国境の警備の強化を要請した。だが両国ともこの要請にはすぐには応じなかった。

するとトランプ政権はすぐにメキシコ、カナダ両国からアメリカへの輸入品に一律25%の関税をかけるという報復措置をとった。これに対してメキシコ、カナダ両国政府とも、わずか1日にして譲歩策を打ち出した。いずれの政府もアメリカへの不法入国者を厳しく取り締まるために、国境地域に1万人の軍隊を配備するという措置をとったのだ。

トランプ政権はこの措置に応じて関税の実施は1ヵ月ほど停止することを発表した。事実上の制裁関税の撤回だった。理由は簡単、その効果が即時にあらわれたことである。

メキシコ、カナダ両国政府はバイデン政権中にはまったく実施しなかった国境地帯への軍隊の特別配備という措置をとったわけだ。その結果、アメリカへの不法入国者が激減することは当然だといえよう。

トランプ大統領は公約通り、就任直後から国内の不法入国者の本国送還に着手した。まずは犯罪容疑で逃走中、あるいは犯罪歴が明白、さらには犯罪集団のメンバーであることが確認された人物などをまず強制送還では優先する。まずはベネズエラとコロンビアへのそれぞれ数百人の強制送還の計画を進めた。ところがこの両国政府とも受け入れないと言明した。