では、この新しい翼竜にはどのような秘密が隠されていたのでしょうか?

他のダーウィノプテルスとまったく違う⁈

今回発見されたダーウィノプテルス属の新種は、中国科学院 古脊椎動物・古人類学研究所(IVPP)に保管されていた標本の中に隠されていました。

化石は灰緑色の頁岩(けつがん)の中に埋まっており、チームが新たに詳しく調べたところ、頭骨、頸椎、肩、翼、後肢など、ほぼ完全な全身の骨格が保存されていたのです。

その全身骨格から翼開長は約75センチと推定されています。

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新種の骨格化石/ Credit: Cheng et al., Anais da Academia Brasileira de Ciências(2025)

また観察の結果、この個体には以下のような特異な特徴が見られました。

・とさか(前上顎稜)の背側縁が直線的で、側面が滑らか

・上顎に18本、下顎に14本の歯を持つ(ダーウィノプテルス属の他種より多い)

・翼指の第4節骨が第1節骨よりも短い(他種では同等の長さ以上)

さらに歯の形は小さな円錐形で中央がふくらみ、根元から先端にかけて色が濃くなるという、独特な構造をしていました。

以上のような特徴から、この化石標本はダーウィノプテルス属の新種であることが判明し、新たに「ダーウィノプテルス・カンポシ(Darwinopterus camposi)」と命名されています。

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新種のイメージ/ Credit: Maurilio Oliveira, Institute of Vertebrate Paleontology and Paleoanthropology, Chinese Academy of Sciences(2025)

それから特に注目されたのが、頭部の骨の一部が癒合しておらず、それに対して翼の骨が完全に癒合していた点です。

通常、成体になると骨と骨のつなぎ目(縫合線)は消えて一体化します。

ところがこの個体では、頭部の骨(前上顎骨と前頭骨など)が癒合しておらず、これは“まだ成長途中”であることを示しているようにも見えます。