すると、占星術を「科学的」とみなす人の特徴として際立ったのは、“知能・教育の低さ”だけだったのです。
こうして、“占星術への信念と知能(あるいは学歴)”の相関が大きくクローズアップされたことで、疑似科学やオカルトを信じる心理を解き明かす手がかりが、よりはっきりしたと言えるでしょう。
なぜ知能と学歴が低い人は占星術を信じやすいのか?

今回明らかになったのは、占星術に対する信念を左右していた主な要素が「知能や学歴の差」であり、他の要因――たとえば宗教性やスピリチュアリティ、政治的傾向、科学への信頼度――があまり影響を与えていないという点です。
これは「学問的リテラシーや思考力の習熟度が乏しいほど疑似科学に引き寄せられやすい」という、いわゆる“表面的知識(Superficial Knowledge)”仮説を裏づける結果とも言えます。
以前から、「霊的世界観や宗教心が占星術信仰を支えている」「政治的に保守・権威主義的な人が運命論を好む」といった見方がありましたが、今回の大規模データの解析ではむしろそれらの影響がほぼ見られなかった、あるいは逆方向さえ示唆される部分もありました。
また、占星術をめぐる議論では、その神秘性や運命観が宗教・信念体系とどう結びつくのか、といった問題にも注目が集まりがちです。
しかし今回の調査対象では、スピリチュアル志向や政治的スタンスよりも、“知的理解力や科学リテラシー”といった面が大きくものを言っている可能性が高いと改めてわかったわけです。
たとえば過去の研究では、科学的な思考法や論理的検証を十分に身につけていない場合、見かけ上「それっぽく」感じる情報に引き寄せられやすいとされています。
学歴が低い、あるいは知能が低いと、こうした“それっぽさ”を見抜くための批判的思考力や知識が不足しているため、「占星術は科学だ」と誤って受け取りやすくなるのでしょう。