これにより、炭化水素がどんどんつながっていくという驚きの結果が得られました。
しかし、「常圧の超酸」ができるなら、「超高圧・高温で電離した水」も同じようなことを起こせるのではないか――その可能性は長いあいだ想像の域を出ず、実験的に証拠をつかむのが難しかったのです。
水が超酸になりダイヤをうみだすメカニズム
水が超酸になりダイヤをうみだすメカニズム / FIG4は、シンプルなメタン分子がどのようにして、最終的にナノダイヤモンドのような複雑な炭素構造へと変わっていくか、その「反応の道筋」を一目で理解できる地図のような図です。 イメージとしては、反応の各段階を示す道筋(矢印)と、できあがる分子の種類を示すボックスが配置された、フローチャートのようなものです。 図の行は、各分子中に含まれる炭素や酸素の数を表しており、列はその分子の中で炭素がどれだけ他の炭素と結合しているか(例:二次、三次、四次)を示しています。 青い矢印は、メタンがどんどん連なって長い鎖状の分子へと成長していく(M1機構)反応を示しています。 青と赤の矢印は、メタンがつながるだけでなく、枝分かれして複雑な構造になる(M1またはM3機構)反応を示しており、 緑の矢印は、アルコールとアルカンの間で分子が変換する(M2機構)反応を表しています。 つまり、この図を読むと、どの反応ルートをたどれば、シンプルなメタンがどのようにして、最終的にダイヤモンドの骨格に近い分子へと変わるのか、その全体像が直感的に理解できるのです。/Credit:Thomas Thévenet et al . arXiv (2025)
水の超酸化現象はどんな現象なのか?
謎を解明するため今回の研究では、実験だけに頼るのではなく、高度な量子化学シミュレーション(第一原理計算)と機械学習手法を組み合わせ、極限状態における水とメタンの反応を細かい原子レベルまで再現することにしました。
どれほど水の電離が進むのか、どんな中間体が生まれて炭素同士の結合を強めていくのか――その仕組みを徹底的に追いかけることを目指したのです。