「水は生命の源」──そんな常識を覆すような新たな研究が、フランスのソルボンヌ大学(SU)で行われた研究によってこのほど発表されました。
驚くべきことに、超高圧・高温という極限環境下では、水が“超酸”としてふるまい、炭化水素をダイヤモンドへと変えてしまう可能性が示唆されたのです。
もしこのシナリオが本当であれば、私たちが知る“水”のイメージは大きく変わるかもしれません。
果たして“生命の源”は、いかにして“ダイヤモンド製造の超酸”になり得るのでしょうか?
研究内容の詳細は『arXiv』にて発表されました。
目次
- 「生命の源が“ダイヤモンド製造マシン”に変身する日
- 水が超酸になりダイヤをうみだすメカニズム
- 水の新たな顔が明らかになった
「生命の源が“ダイヤモンド製造マシン”に変身する日

ふだんの生活で見かける水は、ただの透明な液体であり、“生命の源”として穏やかなイメージを持たれています。
しかしもしその水を、地球の奥深い地下や海王星・天王星の内部にあるような、数万気圧・数千度という超高圧・高温の極限環境に放り込んだらどうなるでしょうか。
なんと水は一変して“超酸”という、とてつもなく攻撃的な性質を帯びる可能性があるのです。
ここではただの水が、炭化水素(たとえばメタン)にプロトン(H+)を次々と押しつけて結合を変化させ、最終的にダイヤモンドのような固体炭素を形づくるかもしれない――これが「ダイヤモンドの雨」という仮説です。
実は常温常圧の世界でも、「超酸」と呼ばれる非常に強力な酸を使うとメタン同士を結合できる現象が昔から知られていました。
たとえば1960~70年代、ジョージ・オラーらの研究グループはフッ化アンチモン酸(SbF 5/HF)のような超酸溶液を使い、メタンにプロトンを与えるという、通常では考えられない反応を起こしてみせたのです。