しかし、復帰後に沖縄の中でそうした動きがあれば、中国がそれにつけ入ろうと虎視眈々と狙っていることも事実であり、日本政府が琉球の歴史に対して誤った対応をしていることが、その隙を与えている。
たとえば、琉球王国が明や清に朝貢していたことの象徴である守礼門を2000円札の図柄にしたことなどは、その最たる例である。これが決定された際、私は「禍根を残すから中止すべきだ」と産経新聞で提起した。中止には至らなかったが、普及には一定の歯止めになったと思っている。
陰謀史観といえば、『日本書紀』はデタラメだというのも一種の陰謀史観だと思う。もしそれが、史実を歪める動機や、虚説を書かせた立場の人物が誰であるかなどという組み立てに基づいているとすれば、それは根拠がない。
藤原不比等が自分に有利になるように『日本書紀』を書かせたとする説もあるが、不比等にはそのような虚偽を記述させる立場にはなかったし、不比等がそれによって利益を得る理由も明確ではない。京都学派が不比等を絶対権力者として描いた虚像に乗っかっているにすぎない。
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