研究チームは今回の調査によって、関係悪化の早期兆候を見極める手がかりを得ることを目的としました。

それにより、関係を修復するための介入時期を明確にし、カップルがより健全な関係を築く助けになると考えたのです。

別れの予兆は「2段階」に分かれていた

チームは今回、ドイツ、オーストラリア、イギリス、オランダの4カ国で行われた大規模な縦断調査を用いました。

合計で1万1295人のデータが対象となり、そのうち約半数が後にパートナーと別れる経験をしています。

調査期間は12〜21年と長期にわたっており、参加者は定期的に恋愛関係における満足度について回答しました。

研究者たちは「別れに至る1〜2年前」に共通して見られる心理的変化があるかを探るため、満足度の推移を時系列で分析。

その結果、満足度の低下には明確な2段階のパターンがあることが判明したのです。

最初は、数年にわたる緩やかな低下「終末前段階(preterminal phase)」でした。

ここでパートナーとの恋愛関係への満足度はゆっくりと、しかし着実に下がっていました。

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Credit: canva

そしてチームが「転換点(transition point)」と呼ぶタイミングで、恋愛関係の満足度は急激にガクンと下がり始めたのです。

この2段階目は、実際の別れのおおよそ7〜28カ月前、つまりは約1〜2年前後に起こっていることがわかりました。

この “転換点” を超えると、カップルの関係は終末段階へと突入し、破局はほぼ不可避となっていたのです。

さらに興味深いのは、パートナー同士がこの変化を同じようには感じていなかったという点です。

別れを切り出す側は、転換点のずっと前からすでに関係への不満を蓄積しており、精神的には別れの準備を整えている傾向がありました。

一方、別れを切り出される側は、転換点の直前まで大きな変化を感じておらず、急激な満足度の低下を経験することで大きな衝撃を受けていたのです。