「ただ、判定の標準の微調整は、やってみると意外と難しいです。その標準をいかにみんな(審判員たち)で自信を持って上げていくか。この点を突き詰めていきたいです」

求められる判定標準の微調整
本ブリーフィングでは、今季序盤のJリーグにおける接触プレーがいくつか紹介され、佐藤氏による解説が加えられている。正しい判定もあったなかで、本来であればビデオアシスタントレフェリー(※1)の力を借りずに、ピッチ上の審判員たちでファウルと判定すべきだった場面も紹介された。
この最たる例が、2月22日の明治安田J1リーグ第2節京都サンガvs浦和レッズで、京都FWマルコ・トゥーリオの得点がオンフィールド・レビュー(※2)の末に取り消された前半アディショナルタイムの場面。ここでは自陣ペナルティエリアでヘディングを試みた浦和DF荻原拓也を、トゥーリオが後方から手で押してしまっている。佐藤氏もゴール取り消しの判定を支持したうえで、ピッチ上の審判員による判定精度の向上を課題に挙げた。
「僕ら(審判委員会)はこのジャッジを正しいと考えます。ただ、この判定をビデオアシスタントレフェリーの力を借りずに下したいですね」
「荻原選手がボールにプレーできるチャンスが無いなかで接触が起きているなら、違う導き方(判定)もできたと思います。ただ、このシーンで荻原選手はボールにプレーできる。その状況でトゥーリオ選手がプッシングをして、荻原選手のバランスを崩した。ボールにプレーできるチャンスが荻原選手にあったけれど、それが(反則によって)阻害されている。このように考えて、シンプルにファウルの笛を吹こうと。この場面は戦わせる(接触プレーを許容する)かどうかという話ではないです」
この場面以外にも、選手がプッシングやホールディング(相手選手の体やユニフォームを掴む)の反則を犯しているものが複数紹介され、この2つの反則を黙認しない姿勢も佐藤氏は打ち出している。“白に近いグレー”にあたる接触プレーと、不用意なプッシングやホールディングを分別する。現状選手たちがすべきはこの作業だろう。