フェルアスピス・ブロクシは、アユ・シシャモ・シラウオ・ワカサギなどを代表とするキュウリウオ目に属する魚であることが特定されました。

キュウリウオ目は今日のオーストラリアにも広く分布していますが、これまで古い化石証拠がなかったため、このグループがいつオーストラリアに到達したのかよくわかっていませんでした。

しかしフェルアスピス・ブロクシの存在から、少なくとも1500万年前にはこのグループがオーストラリアの淡水系で繁栄していたことが伺えます。

さらに驚きはここからでした。

フェルアスピス・ブロクシの化石は皮膚の色素や胃の内容物、さらには寄生生物の存在までも残していたのです。

夜行性のハンターだったと判明?

化石標本の色素分析から、研究チームはフェルアスピス・ブロクシが背中側は濃い暗色で、お腹側は薄くて淡い色をしていたことを突き止めました。

これは「カウンターシェーディング」と呼ばれる保護色であるといいます。

大型魚のような天敵は水面付近を泳ぐ小型魚を下側から狙うことが多々あります。

しかし、お腹が薄くて淡い色をしていると、空から差し込んできた太陽光により白飛びしてシルエットになりにくく、天敵のいる下側からは獲物が見えづらくなるのです。

また体の側面には2本の横縞が入っていたといいます。

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尾ビレも精巧に保存されていた/ Credit: Matthew R. McCurry et al., Journal of Vertebrate Paleontology(2025)

加えて、フェルアスピス・ブロクシは胃の内容物までも残しており、生前に何を食べていたから明らかになりました。

それによると、この個体は小さなユスリカの幼虫を好んで食べていたようです。

これらは日中は湖底に隠れ、夜になると水中を漂う習性を持つことから、フェルアスピス・ブロクシも夜行性の捕食者だったと考えられています。

また尾ビレには「グロキディウム(glochidium)」と呼ばれる淡水貝の幼生が付着していました。