加えて、大規模な山火事も発生し、大量のススや灰も上空に放出したことが特定されています。
それだけでなく、隕石の衝突は、地球上のすべての大陸に対し高さ1.5キロもの巨大津波を引き起こしました。
また2004年に起きたスマトラ島沖地震のおよそ5万倍も強力な地震活動も発生させたと推定されました。
隕石の衝突でさまざまな惨劇が地球を襲ったわけですが、しかしこの中で生命にとって最も致命的となっていたのは「ケイ酸塩」の粉塵でした。
最も致命的だったのは「ケイ酸塩」の粉塵

チームの分析によると、非常に微小で軽い「ケイ酸塩」の粉塵はまたたく間に全球規模で広がり、上空を覆いました。
この出来事は地球全体を暗闇で覆い、太陽光を遮って、約2週間以内に植物の光合成を停止させたと推測されます。
そしてこの完全な暗闇は隕石の衝突から1.7年(620日)にわたって続き、一部の植物が光合成を再開できるまでには少なくとも4年を要したとのことです。
研究者いわく「これは陸上と海洋の両方の生息地に深刻な問題をもたらすのに十分な時間スケールである」といいます。
光合成がストップし植物が死滅し始めたことで、食物連鎖のネットワークが崩壊し、植物を食べていた草食動物、そして草食動物を食べていた肉食動物たちは次々に死んでいったでしょう。

加えて、他の硫黄や煤煙の粒子が比較的早く地上へ落下し始めるのに対し、ケイ酸塩は最長15年間も大気中に浮遊しつづけ、その間に地球の平均気温を15°Cも低下させたと推定されました。