(※ K-Pg境界とは、中生代の白亜紀と新生代の古第三紀の境目にあたる約6550万年前の地層のこと。隕石衝突後の余波の痕跡を残していることで有名)

そこで研究チームは今回、アメリカ北部ノースダコタ州タニス(Tanis)にあるK-Pg境界の地層で、深さ1.3メートルにおよぶ堆積物から40のサンプルを採取しました。
タニスはチクシュルーブ・クレーターから北に約3000キロの場所にあり、隕石衝突後に発生した粉塵やススなどが豊富に堆積しています。
チームはサンプルから採取された粒子のサイズを測定し、何が大気中に放り出されたかを調べました。
では具体的に、隕石の衝突後にはどんな惨劇が起こっていたのでしょうか?
隕石衝突により何が起こっていたのか?
チームは得られた粒子のデータを地球大気のコンピューターモデルに入力し、シミュレーションを実施。
その結果、隕石衝突後の1週間以内に直径0.8〜8マイクロメートルの微小な「ケイ酸塩」の粉塵が全球規模で移動し、地球の上空を覆っていたことが示されました。
このサイズは一般的なヒトの毛髪の直径(50マイクロメートル)よりも小さいものです。(1マイクロメートル=1000分の1ミリメートル)
これらケイ酸塩の粉塵は、隕石が地上の岩石を粉砕した衝撃で発生したものと考えられています。

さらに、隕石の衝突熱により岩石が蒸発し、硫黄を含んだガスが生成され、大気の上層で冷えて小さな粒子になったことも分かりました。