また、これも人間が連れてきた犬が野生化した野犬もウォンバットの敵になりました。
元々、自然発火による大規模な火災も多いオーストラリア。住む土地は人間によって狭くなり、競合する草食動物の登場や、元からいたディンゴなどに加え、新たな肉食動物によって、ウォンバットは一時期、100頭にも満たないほどに数が減ってしまったのです。
実はあの可愛い「背中カイカイ」もウォンバットの敵です。
このダニが大量に寄生し皮膚に潜り込んで疥癬(かいせん)という皮膚病を起こすと毛が抜けてしまいます。
やがて細菌が体内に侵入し、ダニの感染から約3カ月でウォンバットは死んでしまうのです。このダニのため生息数が大幅に減ってしまった地域が出るほど。
ゆゆしき事態です。そこでボランティアスタッフによって家畜用ダニ駆除薬が使われることでだいぶ改善しました。
しかし、巣穴に残ったダニが他のウォンバットに寄生することでも広がっていくため、完全に駆除することはまだ難しい状況です。ボランティアスタッフの努力に頭が下がります。
普段は単独行動のウォンバットですが、巣穴は自分で掘るだけではなく、そこにあるものに適当に入ったりもするようで、そのためにウォンバットはユニークな行動をします。
巣穴の外に自分のフンを置いておくのです。それって「入ってます」みたいな……。

目よりも鼻がいいウォンバットにとって、都合のいい表札がわりですね。普通はむしろ巣穴から離れたところに排泄したり「溜めフン」したりするものだと思いますが、ウォンバットは巣穴の入口あたりに並べておくのです。
このフンがまた直方体をしていて、置いておきやすくなっているんですね。ウサギの糞みたいに乾いた感じではありますが、とても都合よく転がりにくい形で排泄されます。積み木かw
ウォンバットのフンがどうして四角くなるのか、ご丁寧に研究した人もいます。食べた餌と腸の動きで見事この形になるそうで、肛門が四角いわけではありません。ただ、飼育下だと餌の違いでなかなか直方体にならないこともあるようです。