米の高値が継続し、スーパーで5㎏4000円にもなっている。だいたい一合あたり150円ほどになる。

現在の5㎏4000円、1㎏800円という水準を海外各国それぞれの標準的な米と比べると、韓国では、1㎏が300円、中国では130円、タイでは75円であって、日本の米価は国際価格の数倍から10倍である。

近年は米余りであるにもかかわらずこの高値になっているのは、トイレットペーパー騒ぎに通じるものがあるが、政府のやっていることも、是が非でも正常化させたいというわけでもなさそうで、もしかするとバブルが膨らんで破裂、つまり暴落するまで高値が続くかもしれない。

原因については、諸説あるが、まず、日本の米についての政策をざっと説明したい。

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戦争中の1942年に食糧が不足していたので、食糧管理法(食管法)が創設され、政府が生産者から米を高めで買い入れ、消費者へ安く販売する二重価格制をとっていた。

しかし、在庫米を抱え財政赤字が拡大したり、品質による価格差が小さかったことから矛盾が拡大し、自主流通米という良質な米の流通制度ができたり、多すぎる生産を抑えるために、減反政策を実施して、政府が買い上げる米の量を減らそうとして維持したが、1995年には廃止された。輸入はほぼ行っていなかった。

ただ、米余りの状況にかわりないので、他作物への転換を奨励する制度は残っている。また、1990年代には、海外から市場開放の圧力が高まり、1995年のウルグアイ・ラウンド農業協定で米100%自給に小さな穴が空いた。

米のミニマム・アクセス数量を設定し国内消費量の4%、現在では約8%を関税ゼロで輸入し、反対に、それを超える分については、精米で5kgあたり1,705円の関税を取っており、約778%に相当し、ほとんど禁止である。

この制度は、工業製品などで不利な要求を呑んだ代償に認められたもので、そういう意味では、日本産業没落の原因の一つである。