ピラミッドと聞けば、大半の人はエジプトを思い浮かべるでしょう。

しかし実は、世界最古のピラミッドが存在するのはエジプトではありません。

現在、最も古いピラミッドの筆頭とされるのは、インドネシア西ジャワ州にある「グヌン・パダン(Gunung Padang)遺跡」です。

インドネシア国立研究革新庁(BRIN)の過去十数年のフィールドワークの結果によると、このグヌン・パダンの建造年代は最も古い部分で少なくとも1万6000年前、最大だと2万7000年前と推定されるという。

これはエジプトのピラミッドのみならず、世界最古の巨石遺構である「ギョベクリ・テペ(トルコ)」よりも遥かに古い可能性を示すものです。

研究の詳細は、2023年10月20日付で学術誌『Archaeological Prospection』に掲載されています。

目次

  • グヌン・パダン遺跡はいつ、どのように作られたのか?
  • 2万年以上前からリレー形式で増築されていた?

グヌン・パダン遺跡はいつ、どのように作られたのか?

グヌン・パダン遺跡は、標高895メートルのパダン山の頂上に位置する東南アジア最大の巨石建造物です。

ピラミッド型の遺跡は全長120メートルに及び、丘の頂上には5面のテラス(盛土)が段上に並んでいます。

文献に残る形で最初に報告されたのは1891年のことですが、それ以降は長いこと忘れ去られていました。

その後1979年に地元住民によって再発見されたことで断続的な調査が開始されます。

しかし約30年に及ぶ調査でも、この遺跡がいつ、どのように作られたのかはよく分かりませんでした。

グヌン・パダン遺跡の頂上
グヌン・パダン遺跡の頂上 / Credit: ja.wikipedia

そんな中、インドネシア国立研究革新庁が2011年〜2015年にかけて、地中レーダーやコア掘削、放射性炭素年代測定など、様々な科学技術を駆使した本格的な調査を実施。

結果、それまで不明瞭だったグヌン・パダン遺跡について多くの事実が明らかになりました。