即ち、従前ログハウスは「防火地域及び準防火地域並びに建築基準法第22条第1項の指定区域内」での建設が禁じられていたが、この改悪では当該規制地域でのログハウス建築を一定条件の下で許可し、更には一気に木造建築物に対し「不燃材料」を薪ストーブ周辺(だけ)に施工することでよいとされてしまった。それも一般市民のほぼ知らぬ間にである。
※参考:防火地域 準防火地域 法22条区域
これは、
「住宅密集地での木造家屋(就中ログハウス)の建築制限の緩和」 「木造家屋(就中ログハウス)での薪ストーブ設置条件の緩和」
即ち防火延焼対策をかなり緩和し安全を犠牲にしたことに他ならず、将来に禍根を残す、人災を積極的に呼び起こす大改悪である。
もっと簡略化すれば、「場所を問わず最低基準を満たせば薪ストーブ付き木造家屋・ログハウスを自由に建ててよい」ということであり、先人たちが工夫努力して作り上げてきた「燃えにくい街」を一気に破壊せしめんとする暴挙である。
有機物たる木材は無機物と違って難燃加工(建材は乾燥している上に防腐剤・化学薬品の注入処理がされている点を思い起こす必要がある)をしても確実に燃え尽きるし、不燃材料(鋼板等)の裏に木材があれば例え一定の空隙があったとしても熱伝導により長時間の高温曝露で炭化し低温発火に至る事例は既に広く知られているはずで、実際に薪ストーブ家屋の煙突付近の木造部分から発火した全焼火災の例も存在する。
しかもこのこっそり改悪で更に恐ろしいのは或る業者の解説によると「最上階であれば薪ストーブ周辺の壁・天井の素材に規制はない。」と記されており、それが真実であるならもはや意味不明で殺人的な規制緩和を国土交通省が実行してしまったことも特に指摘しておきたい。
最近でも山陰地方で薪ストーブ家屋からの失火火災が報道されたが、薪ストーブが設置されていなければ起き得ない火災であり、コンロ等のような調理時のみの火気ではなく長時間燃焼が常態である薪ストーブを住宅密集地で設置使用することは、近隣家屋に対しての火災類焼脅威・リスクレベルを積極的かつ有意に高める行為でもある。