<例2>

あいつは才能でチャンピオンになった。苦労なんかしたことがない。

これもありがちな羨望心に訴える論証です。

<事例>上級国民

<事例a>ひろゆきが「日本の上級国民」について思うこと『ダイヤモンド・オンライン』 2021/06/26

ひろゆき氏:正義がお金に負けているんですが、それで果たしてよいのかと思わざるを得ないですよね。(中略)

「上級国民」というワードがよく聞かれますけど、政治にコネのある理事長が犯罪してもすぐに釈放されるようなことが現実に起きています。強姦を繰り返している大学生も逮捕されましたが、実家が土建業を営む大富豪であるためか、不起訴となりました。

また、最近では池袋での暴走事故が有名ですが、この先の判決が待たれていますよね。同じようなケースで、60代で人を跳ねたバス運転手がいましたが、その人は逮捕されました。なのに、池袋の事故のときはなぜか逮捕されなかったんです。

ひろゆき氏は「上級国民」という羨望の対象が金で正義に打ち勝っているかのように主張しています。しかしながら、逮捕の有無は必ずしも正義の可否とは一致しません。

<事例b>「上級国民」は逮捕されない?死亡事故を起こした人が受ける4つの責任『FINDERS』 2019/07/08

渡邉祐介弁護士:先日の池袋の高齢者による交通事故で加害者が逮捕されないことで、ネット上などでは加害者の経歴を理由に「上級国民」だからといって逮捕されないのはおかしいという声が多く挙がっていました。

一般に誤解されやすいのですが、「逮捕」とは、犯罪を犯したが故になされるわけではなく、犯罪を犯した疑いがある(逮捕理由がある)段階の人を捜査するにあたって、身柄拘束の必要性がある場合になされる手続きです。ですから、そもそも犯罪を犯した疑いが濃厚だったり、発生した結果が重大だったりしたからといって、かならず逮捕されるというもわけでもありません。