例えば深い睡眠の割合は、換気が低設定だと平均12.6%でしたが、中設定にすると平均17.5%にまで上昇しました。

では、これら睡眠の質の違いを生じさせた要素とは一体何だったのでしょうか?

研究チームは、実験の中で、換気がCO2濃度に大きな影響を与えることを発見しました。

換気量が少ないと、CO2濃度が大幅に高くなっていたのです。

また微小粒子状物質(PM2.5)の量も換気によって減少しました。

換気してCO2濃度を下げるなら、睡眠の質を向上させられるかも。生産性も高まるはず
換気してCO2濃度を下げるなら、睡眠の質を向上させられるかも。生産性も高まるはず / Credit:Canva

これらのことから、換気によってCO2濃度を下げることが、睡眠の質を向上させるカギだと考えられそうです。

今回の結果からファン氏は、「寝室のCO2濃度を1000 ppm 未満にする必要がある」と述べていますが、「正確な数値を出すにはさらなる研究が必要だ」とも付け加えています。

もちろん空気中の汚染物質も多すぎるなら、睡眠の質が低下する可能性があります。

空気清浄機ではCO2濃度を下げられないので、睡眠の質を向上させたいなら空気清浄機ではなく、やはり「換気」すべきでしょう。

換気が低設定の場合でも、PM2.5はWHO基準値よりも低下できることができたため、換気に伴う温度や湿度の変化が気になる場合は、低設定の換気を実施するのが良いかもしれません。

睡眠の質を向上させるために、効果な設備を導入する必要はないようです。

誰もが、ただ「窓を開ける」「換気扇を回す」といったシンプルで安価な方法で実践できるのです。

寝付きの悪さや、夜中頻繁に目覚めるなど、睡眠の質が気になっている人は、まずは部屋の換気から始めてみるといいかもしれません。

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参考文献

Enhanced bedroom ventilation linked to improved sleep quality
https://www.psypost.org/2023/11/enhanced-bedroom-ventilation-linked-to-improved-sleep-quality-214305