結晶が成長すると、バッテリー内で電気を効率よく貯めるためのスペースが奪われることになります。
これにより、バッテリーを途中で充電し続けると、その「途中の状態」を「満充電の状態」としてバッテリーが覚えてしまったかのように、次に使用できる容量が減ってしまうのです。
そのためこの現象を「メモリー効果」と呼び、ニカド電池では電気容量を使い切らずに再充電する行為は避けるように、使用上の注意として周知されていたのです。

しかし、リチウムイオンバッテリーでは、メモリー効果はほとんど発生しません。
リチウムイオンバッテリーは、化学的に安定した設計がされており、結晶化などの問題でバッテリーの寿命に大きな影響を与えることはありません。
むしろ、リチウムイオンバッテリーは完全放電(ゼロまで使い切る)により電圧が非常に低い状態にすることが、内部の化学反応を不安定化させる要因となります。
このため、使い切ってから充電するという旧来の習慣は、逆にバッテリーの寿命に悪影響を与えてしまうのです。
ではリチウムイオンバッテリーの理想的な使い方は、どういうものになるのでしょうか?
バッテリーを長持ちさせるための正しい使い方
リチウムイオンバッテリーを長持ちさせるためには、いくつかの注意点があります。
まず、最も重要なのは、「過充電」を避けることです。
リチウムイオンバッテリーは、充電が100%に達した時点で充電を停止する設計になっていますが、長時間充電器に繋いだままにしておくと、微細な化学的変化が積み重なり、バッテリーが劣化する原因となります。
そのため、充電が完了したらすぐに充電器を外すことが理想です。
また、温度の影響にも注意が必要です。
リチウムイオンバッテリー内の化学変化は温度の影響を受けやすいため、極端な温度で利用すると急速に劣化が進みます。