背側縫線核は、中脳から脳幹の内側部に位置し、セロトニンを分泌する神経細胞が多く分布しています。
セロトニンとは、気分を調節し精神を安定させる働きをする神経伝達物質の一つです。
実際、脳内のセロトニン濃度を上昇させることで抗うつ効果が得られることが分かっています。
このことから、背側縫線核の脳内炎症により、セロトニン神経機能が何らかの異常をきたしたことで、長期的な倦怠感が生じている可能性が高いと結論されました。
以上の結果は、熱が引いた後にも倦怠感や疲労感が長引くメカニズムを説明する貴重な成果です。
チームはこれを受けて、インフルエンザや新型コロナをはじめとした様々な感染症による慢性的な倦怠感の緩和や治療法の確立につながると期待しています。
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参考文献
熱が引いても疲れが取れない理由-ウイルス感染後の長引く倦怠感に脳内炎症が関与-
https://www.riken.jp/press/2023/20231124_2/index.html
元論文
Regional neuroinflammation induced by peripheral infection contributes to fatigue-like symptoms: a [18F]DPA-714 positron emission tomography study in rats
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2023.1261256/full
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部