■一家を襲った恐ろしい“真犯人”とは?
そして遂に恐ろしい“真犯人”の人格があらわれはじめた。
この頃、一家のメンバーは目に見えない力で髪の毛を引っ張られたり、身体を押されるような被害にも見舞われていたのが、とうとう不機嫌そうな“何者か”の声を聞くことになる。
声は一家の者を脅迫し、「我と共に地獄へ行くか?」「我は悪魔だ。お前の命を握っている」などの言葉を耳元でつぶやくのだった。声は時には幼い子どものような口調になったり、犬の唸り声のようになった。家族からの質問には基本的に答えない声だったが、一方的に投げかけられるその言葉を繋ぎ合わせてみると、どうやらこの屋敷で亡くなった人物の霊であることがわかってきたのである。
そして養女のディナは、真夜中にこの霊の“姿”を目撃。さらに庭で遊んでいた子どもたちが「牛の頭、ひづめの足と角を持つ背の高い男」を見たと証言したのだ。
この霊的存在はその後もあらわれ、大きな悪魔のような男は真っ赤な眼をしていて、大きな黒い犬を従えていたこともあったという。

ジョージとスーザンはこの霊は基本的に養女のディナに憑りついているとの結論に達し、聖職者(エクソシスト)を呼んでディナとこの屋敷のお祓いを依頼したが、霊はむしろ意固地になって聖職者にまで攻撃を加えてきた。別の聖職者を呼んできても結果は同じであった。
まったく埒があかない事態に陥った一家だが、ある日、パーシー・ウッドコックという地元の記者で超常現象研究家でもある人物がやってきて、ディナにインタビューすることを通じてこの霊と交信することに成功した。
ウッドコックと霊は長い時間をかけて議論を行ったのだが、ウッドコックが霊を非難して怒らせると、ディナが殴られたり蹴られたりしたような苦痛に見舞われたのだった。
最終的に、霊はこれまでの件はジョージ一家を傷つけることを目的としたものではなく、単なる娯楽のためであったことを白状した。そして霊は、この屋敷で20年前に亡くなった80歳の男であると打ち明けたのだった。そしてウッドコックがさらに交渉を続けた結果、霊は「明日、この屋敷を去る」と約束したのだ。
翌日、ささやかな“送別会”を行った一家だが、この日、田舎町では白いガウンを着た背の高い老人が歩いて町を去っていく姿が多くの者に目撃されたという。ちなみに政治家、警察、聖職者を含む17人の責任あるコミュニティのメンバーが、ジョージ一家に起きた一件がすべて真実であるという宣誓供述書に署名している。
