その後、この「勝ち点3ルール」はFIFA主催大会や他のリーグにも広がり、多くの主要リーグで標準となった。国際大会では、1994年のアメリカW杯予選から正式に採用された。

ピケ氏による試合数の削減の提案も
確かに2002/03シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝、ユベントス対ミラン(PK戦でミラン優勝)のように「史上最も退屈なファイナル」と酷評され、「初めからPK戦をやった方がマシだった」とまで言われたスコアレスドローが存在するのも事実だ。だがそれは見方を変えれば、卓越した守備戦術の賜物でもある。ピケ氏の提案がサッカーファンの間で賛否両論を巻き起こしていることで、その議論の幅広さがよく分かる。
ちなみにピケ氏は、毎年開催される欧州最大規模のスポーツビジネスカンファレンス「リーダーズ・ウィーク・ロンドン」に参加した際、報道陣に対し「試合数が多すぎる。選手たちが『負傷が続出している。3日おきに試合があり、夏休みを取る時間もない』と訴える姿を我々は目にしている」とも訴えた。
「自身がサッカー界を統括する立場であればどうするか」と尋ねられると「試合数の削減を提案する」とし、「各リーグを訪れ、20チームから16チームに減らすよう提案する」と述べ、UEFAやFIFAに対しても現状を改めるよう伝えるだろうと答えた。
実際、国際プロサッカー選手協会の欧州支部、欧州各国リーグが加盟する「欧州リーグ」、そしてスペインのラ・リーガは、FIFAの国際試合の日程に関して欧州連合(EU)の独占禁止法規制当局に共同で申し立てを行っている。
ピケ氏の提案はあくまで、「カスタマーファースト(観客優先)」と「プレーヤーズファースト(選手優先)」を並行して実現するための提案であり、単なる思い付きではないのだ。現実問題として、試合数の削減はクラブの収入源に直結し、それは選手1人1人の年俸や移籍金ビジネスにまで波及するだろう。