5月に文藝春秋から刊行するのは歴史の本だから、もちろんコロナやウクライナを、直接に扱っているわけじゃない。しかし、こうした母性社会日本にとってかつての戦争や、戦後とはなんだったのかを、それを「母性」と形容することの妥当性も含めて、問い直す1冊になっている。

「失われた「昭和」の教訓」と銘打った『Wedge』4月号への寄稿でも、いま同書を刊行する意義に触れた。令和のこの国が幼年期を脱し、今度こそ成熟するために、手に取って楽しみにしてくれる人がいれば嬉しい。

二人の巨人と辿る戦後80年間の魂の遍歴 『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』與那覇潤 | 単行本 - 文藝春秋
二人の巨人と辿る戦後80年間の魂の遍歴 小林秀雄賞受賞の著者が放つ渾身の文芸批評。『帝国の残影 兵士・小津安二郎の昭和史』『平成史』に続く近現代史三部作完結編。『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』與那覇潤

参考記事:

なぜいま『江藤淳と加藤典洋』なのか|Yonaha Jun
今年の5月に、『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』という本を出す。副題のとおり戦後80年にあたっての、ぼくの研究成果だ。 江藤と加藤と聞いても、どっちも知らないよ、という人も多いだろう。別に、それでいい。ふたりとも日本の文学と歴史を大事にして、在野と大学の双方を体験した、批評家だった。この説明以上の知識は、特にい...
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「専門家の時代」の終焉|Yonaha Jun
いま連載を持っているので、送っていただいている『文藝春秋』の4月号が届いた。すでに各所で話題だが、「コロナワクチン後遺症の真実」として、福島雅典氏(京大名誉教授)の論考が載っているのが目につく。タイトルが表紙にも刷られているので、今号の「目玉」という扱いだ。 お世話になっているから持ち上げるわけではないが、『文藝春秋...