自民、公明、日本維新の会は高校授業料の無償化を柱とする25年度予算案の修正で21日、合意しました。新聞では「どのような教育効果があるかの議論を欠く。選挙目当てのばらまきだ」(読売新聞社説、2月22日)と酷評しています。「無償化に乗じて、私立では授業料の値上げが相次ぐのではないか」、「維新は高校無償化を実現して支持率を回復させたいとの思惑だ」とも批判しています。
日経新聞は21日の1面トップ記事で、「経済学者の7割が高校無償化に反対」と報道しました。47人の学者に「高校授業料に関する家計支援は望ましいかどうか」について質問したところ「そうは思わない57%、全くそう思わない13%」などの回答を得ました。通常の世論調査とは別に、経済専門家に対する調査には価値があります。こうした調査が今後、増えることを期待します。
学者たちの反対の理由は「国の支援があると、私立高が学費をあげる」、「学費をあげても国の支援(無料)があるので、家庭の負担は増えず、出願者数は減らない」、「私立高への集中が起こり、公立高が疲弊する」、「教育の質の向上策が後回しになっている」などです。
見た目は家計を助けるように見えても、私立高が学費をあげてしまうと、家計にとっては「プラスマイナスゼロ」となり、私立高は値上げができる。高校無償化は、結局、私立校への支援につながる。「有権者を喜ばせれば、選挙対策になる」と思い込んでいる維新の会は、勘違いしている。
財源については、25年度の税収は78.4兆円、前年度比9兆円で、税収は6年連続で過去最高を記録しているので、この税の自然増収をあてにしているのでしょう。
税収が伸びているのは、物価上昇が続いているためです。売上・利益が増えれば、法人税収も増える。給与が増えるから所得税も増える。価格が上がるから消費税が増える。つまり名目の給与が増えても、物価が上がり、実質の給与は目減りする。自然増収の使い方が間違っているのです。