もっと分かりやすい話をしましょう。皆さんの家にある冷蔵庫と洗濯機、これ、なくなることが想像できますか?テレビは最近無くなりつつあります。冷蔵庫は「料理しないからいつも飲み物しか入っていない」という方もいるので、もしかしたら冷蔵庫も無くなるのでしょうか?しかし、人が住む居住空間は機能の変化はあれど、歴史的に何百年もさほど変わっていないのです。
ということは25年後の想像をするのは着眼としては面白いのですが、それに向けたビジネスをどう考えるか、というのは正直困難だと思うのです。但し、これだけは言えるのです。「人間はロボットにはならない」です。すると人間生活の基本に立ち返ると衣食住という最もベーシックなところは不朽であると言えます。今の技術の進歩は人間生活を楽にする、便利にする、という視点でありますが、人間が生きるという点では人類の歴史の初めから何一つ変わってはいないのです。
当然ながら一人では生きていけないし、ビジネスは顧客や従業員や協力業者など他者がいるからこそ成り立つものです。その根源まで遡ると25年後の社会への提言も基本的には人間が人間として共同生活し、偉くなりたい人はリーダーシップをとるという基本を考えればよいのはないでしょうか?若者が目指すべき25年後への提言という小難しいテーマ故に悩んでしまうのですが、古代ギリシャの人々がどうポリスを維持したのか、という着眼とほぼ変わらない、これが私の思うところです。
但し、古代ギリシャ時代と今ではある違いがあります。それは規制です。人々は共生の中で無言のルールを形成しました。英国には未だに憲法はありません。もともとは道徳を信じたからでしょう。ところがそのルールはしばしば破られ、不正をし、戦争をしてきました。故に社会が様々な約束事を成文化させたのです。これが法律であり、政府の規制であります。バイデン大統領が大統領時代に署名した規制だけでなんと3000件もあるそうです。つまり、我々の社会はどんどん成文化された規制でがんじがらめにされていく、これだけはギリシャ時代と大いに違うのです。