2000年には、前述した「6秒ルール」が明文化された。GKがボールを手で保持できる時間を「6秒以内」に制限するもので、それまでは「4歩まで歩くことが可能」という曖昧な基準があったが、時間稼ぎを防ぐためのルールとして明確な秒数が設けられた。
これにより、GKはボールを手にした瞬間に素早くプレーを再開する必要に迫られる。特に試合終盤では、6秒を超えると間接フリーキックが相手に与えられるため、プレッシャーが増大することになるはずだった。しかし実際には、このルールが厳格に適用されるケースは少なかった。
近年では、ディフェンスラインが高いことも一般的で、GKにもフィールドプレーヤー並みの足元の技術も求められているだけではなく、広い視野と戦術的判断力が不可欠となっている。
これらのルール変更は、時間稼ぎの防止やゲームのスピードアップなどを目的とし、全体としてはサッカーの魅力を高めたかも知れない。しかしながらGKにとっては窮屈なプレーが求められ、さらに足元の技術における要求の増大、負傷するリスクの増加という形で不利益を被っている。特にバックパスルールの改正以降、GKは単なる「ゴールを守る人」から「攻撃の起点」としての役割も担うようになり、ポジションの難易度が飛躍的に上昇した。
歴史を振り返ると、GKはルール変更のたびに新たな挑戦に直面し、そのたびに進化を遂げてきたと言えるだろう。現代の一流GKは卓越した足技と判断力を備えた選手が多く、ルール変更がGKの役割を多様化させた一面もある。

GK泣かせのボール進化も
また、GKを苦しめたのはルール変更だけではない。サッカーボールも進化していく中で、GK泣かせのボールが生まれた。
特に、2010FIFAワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の公式球として採用されたアディダス社製の「ジャブラニ」は、いわゆる「無回転シュート」が生まれやすいボールだった。