信じられないかも知れないが、サッカー黎明期の1882年に結成されたIFABは、1912年までGKがピッチ上の自陣全体で手を使うことを許していた。フィールドプレーヤーとのバランスを取るため、このルールが改訂され、手を使える範囲がペナルティエリア内に限定された結果、GKの守備範囲が大幅に狭められている。DFの重要性が増し「守備戦術」が生まれる契機となった。
そしておそらくGKにとって最も劇的な影響を及ぼしたルール変更が、1992年の「バックパスルール」の変更だろう。それまではリードしている展開ともなれば、勝っているチームが足でGKにボールを戻し、GKが手で拾って時間を稼ぐことが当然のように行われており、サッカーの魅力を削ぐとして問題視されていた。これを解消するため、IFABは「味方から意図的に足で蹴られたボールをGKが手で扱うことを禁止する」とルールを変更した。
これにより、GKに足元の技術が求められるようになり、それまで手で対応していた状況で足を使わざるを得なくなった。足元の技術に問題のあるGKは、ミスが即失点に繋がるリスクが高まり、徐々に淘汰され、加えて時間稼ぎも難しくなったことで、DFとの連携がより重要になった。

1997年に廃止された「キーパーチャージ」
1997年に廃止された「キーパーチャージ」もGK泣かせのルール変更といえよう。フィールドプレーヤーによるゴールエリア内でのGKへの過度な接触を禁止する「キーパーチャージ」が廃止され、GKに対してもフィールドプレーヤーと同じ基準での競り合いが認められるようになった。
これにより、GKがボールをセーブ、あるいはキャッチする際に相手からの激しいチャージを受ける。失点のリスクが高まると同時に、負傷するGKが続出する結果を招いているのも事実だ。