黒坂岳央です。

現代社会はあまりにも複雑系であり、価値観、能力などあらゆるパラメータの平均値となる値は「統計上にだけ存在する、リアルには存在しない概念」と言っていい。

それにも関わらず、現代人は「平均値」にしばられることで人生の自由さを失っていると感じる。ではどうすればいいか?結論、平均値という概念をきれいに忘れるべきなのだ。

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「平均的な人」は統計上の幻

よく聞く話が「結婚は高望みしない。平均的な人でいい」とか「弊社のブランド力ではハイスペは無理で、平均的な人しか採用になるだろう」といった「平均的な人を求める話」はあちこちに転がっている。

だが、あらゆるパラメータが平均的で弱点のない人など、実在しない「統計上の幻影」といっていい。

婚活で言えば、平均年収458万円(国税庁 2022年)、身長171.5cm、体重64kg、四年制大学卒(偏差値50前後の大学)…とパラメータをクリアしていっても、どこかで「平均以下」の数字が出てくる。それも「必ず」だ。

それ故にこのような「普通の人を求める思考」は明確に戦略として誤っていると断じることができる。その思考で活動を続けても、永遠にそのような人を見つけることができないことは確定的だからだ。

統計を取る際はどんなパラメータでも極端な値を含むことで、平均値は上振れ、下振れが起きる。たとえば20代の平均的な金融資産保有額(金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査)は、176万円~179万円程度である。だが、貯金0が42.1%と半数近くだ。

当時から貯金の平均値を見て「みんなそんなに貯金をしているのか…自分はダメだな」と落ち込んでいたのだが、起業家やトレーダーといった人たちが1000万円、1億円と保有する外れ値で平均値を荒らしたことにより、ほとんどの人に当てはまらない数字を作ったに過ぎない。