投資のだいご味と銘打ったのは好調な事業でも伸びを欠いている事業でも自分たちの手で改善を常日頃行える楽しさにあると思います。

では自分のレベルではできない大企業とどう歩調を合わせるか、これが株式投資の面白さだと思います。一例をあげましょう。バンクーバーに本社がある銅鉱山企業はパナマにある世界最大級の鉱山の採掘権を持っていたのですが、1年半近く前に同国の政権不安定から閉山させられ、株価は瞬く間に1/3以下に崩落しました。たまたまその時は同社の株を持っていなかったのですが、この事態をじっくり研究した上で、私がパナマ政府ならどうするか、私がこの鉱山会社の社長ならどうするか、考えたのです。その上で株価の底値を拾い、噂で株価の振れ幅が大きくなる中、同社の収益のボトムラインと期待値の振れ幅を利用した売買をしたのです。何度繰り返したか…。そしてパナマ政権がトランプ政権からいじめられた時、そろそろ大きな転換点だろうと判断して買い増ししたのです。案の定、政権は国内経済が苦しくなったため、銅鉱山会社に緩和策を提示したのです。株価の動きはおのずとお分かりになると思います。

こういう分析をしながら投資をするのが実は最も面白いのです。トヨタとか日立は完成された会社で株価は全体の地盤変動の中で動き、材料が出ても大きく動かないものです。今、私が日本株でもっとも面白い賭けだと思うのはセブンアイでしょう。現経営陣がそのまま経営すれば株価が改善する見込みは目先はありません。理由は社長が変われどもセブンの創業当時のコンセプトの殻を破れず、保守的な経営が続くと見えるからです。一方、カナダ社が買収に意欲を示す中で仮に買収が起きればセブンのみならず、ライバル会社にも大きな刺激となるはずで業界の底上げが期待できるのです。私はアナリストとか数字というところではなく、経営へのインパクトを主眼にみています。これが株価を最も大きく変動させる要因だからです。

アメリカのセブンイレブンの店舗 セブンイレブンHPより