このアイデアをさらに発展させれば、「私たちがブラックホールの内部に住んでいる」という大胆な可能性にもつながります。
ブラックホールの内部では外部とは切り離された時空が広がりうるため、そこが新たな“独立した宇宙”のように振る舞うかもしれない、というわけです。
もっとも、これを実証する手段は現在のところ乏しく、科学的に確立された結論からはまだ遠いと言えます。
しかしながら、今後の量子重力研究や観測の進展により、こうした大胆な発想が新たな形で検証される可能性も否定できません。
ある宇宙は別の宇宙のブラックホールの中にある、というような入れ子構造がもし存在するのだとすれば、私たちが外の世界に気付く日も、いつか訪れるのかもしれません。
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参考文献
Black holes: not endings, but beginnings? New research could revolutionise our understanding of the universe
https://www.sheffield.ac.uk/news/black-holes-not-endings-beginnings-new-research-could-revolutionise-our-understanding-universe
元論文
Black Hole Singularity Resolution in Unimodular Gravity from Unitarity
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.134.101501?_gl=1*1ukx4le*_ga*NDc0MDg5NTkwLjE3MjAzOTI3NTM.*_ga_ZS5V2B2DR1*MTc0MjI5NTQ4NS4xMTEuMC4xNzQyMjk1NDg1LjAuMC41Mjc4MjM3NzE.
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。