もう一つは不動産仲介手数料です。例えば専任媒介している地場の不動産屋が客付けをしてくれれば手数料は約定の金額一本で終わりです。ところがもしもネットなどで見かけるような著名なネット仲介などを通じて客付けが行われた場合、手数料は2本、つまり2倍になります。これには私もムカついたのですが、仲介料をダブルで払った入居者が2か月で退去してしまい、私としては手数料倒れになったケースがありました。
こう見てもお分かりの通りアパート経営は実にローテクで人間臭い業務がちりばめられているとも言えます。
では借り手から見たらどうでしょうか?これも都心のケースになりますが、マンションの賃貸借が物件として圧倒しています。理由はセキュリティや建物の耐震性、音漏れなどでしょう。供給される物件数も多く、比較的新しい木造アパートとさほど価格が変わらない点も若い方を中心に選ばれるケースが多いようです。
これからアパート経営をしてみようという方へのアドバイスです。まず物件の所在地が客付けしやすいのかよく調査することです。住宅街なのか、大学や会社、工場のそばなのか次第で条件はまるで変わります。また例えば大学のそばだと当然競合も多い上に最近は大学がより便利ところに移転する現象がしばしば起きています。私の母校も厚木にキャンパスがあったのですが、わずか21年で相模原にそっくり移転するなど誰も想定しておらず、厚木の最寄り駅周辺は空き家のアパートだらけになったという逸話もあります。
また今から新築を考える場合は建設会社の高くなった見積もりをよく吟味した方がいいでしょう。それだけ投資しても本当に利回りが確保できるか、です。昨今の建築費は10年前の5割増しぐらいだと思います。今後も下がることはないでしょう。大工さんなど熟練した人出が足りないからです。
リターンですが、表面利回り(年間賃料収入と開発費の総額の比率)で最低でも10%は欲しいところです。経費や金利などコストを差し引いた実質利回りは現状3-5%ともされます。ですが5%の利回りはずっと満室経営で資金回収に20年かかるという意味です。建物の老朽化を考えると投資案件として私は5%ではとっても勝負できません。ましてや老後の安心収入などそれは大きな見当違いとも言えます。それなら配当利回りの良い株式投資の方がどれだけおいしいか。