考古学的証拠によると、約10万年前には異なる人間集団の間で、言語を使った象徴的な活動が広く見られるようになりました。

例えば、物への記号や図形の刻印、装飾目的で赤色顔料(オーカー)を使用する技術などの証拠があります。

これらの行動は現生人類が抽象的な思考を始めたことを示しており、それは言語の使用、それも特に他者とのコミュニケーションツールとしての言語の使用が普及し始めていたことを示唆するものです。

以上の結果から、人間に特有の言語能力の基盤は少なくとも約13万5000年前には誕生しており、そこから約3万5000年後には、社会的なコミュニケーションツールとして言語が一般的に使用されていたことが推察されました。

ただ今回の結果はあくまでも、人類の最初の地理的分岐から言語の起源を推定したものであり、正確な結果とは言い切れません。

人間の言語の起源にはまだ多くの謎が残されていますが、今回のように遺伝学的データも活用することで、言語能力の出現時期をより精確に推定できるようになるでしょう。

全ての画像を見る

参考文献

When did human language emerge?
https://news.mit.edu/2025/when-did-human-language-emerge-0314

Human Language Emerged 135,000 Years Ago as a Private System Within Thought, According to a Genetic Study
https://www.labrujulaverde.com/en/2025/03/human-language-emerged-135000-years-ago-as-a-private-system-within-thought-according-to-a-genetic-study/

元論文

Linguistic capacity was present in the Homo sapiens population 135 thousand years ago
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1503900