非常に厳しい状況である。まずこの「隠れ親露派狩り」は、終わりがない。国際社会では、ウクライナへの支持が目に見えて減ってきている。2022年の時点で141カ国が賛同した国連総会におけるロシア侵略非難決議は、今年の2月には93カ国の賛成票しか得ることができなかった。

ゼレンスキー大統領は、昨年6月にスイスで開催した「平和サミット」の後、さらに「グローバル・サウス」諸国を取り込んで第2回をすぐに開催すると言っていたが、実施時期の見込みをどんどんと遅らせていった挙句、今はその話題を口にすることすらありえないような状況になってしまっている。

「隠れ親露派バスターズ」の活動の先鋭化が、より広範な支持の獲得につながるとは、到底思えない。むしろ一人、また一人と、ウクライナ支持者を引きはがしているような状態である。現在では、ウクライナの最大の支援者であったアメリカが、トランプ大統領という「隠れ親露派」の代表のような存在を得て、日々の糾弾・揶揄・侮蔑の対象となっている。

そんなことをして、いったいどのような利益が、ウクライナにもたらされると考えているのかは、不明だ。だがここまでくると、誰にも容易には「親露派バスターズ」活動を止めることはできない。裏切者とみなされて自分までも粛清の対象となることが怖いからである。ひたすら「隠れ親露派狩り」にいそしむ姿を仲間に見せ続けるしかない。

この事情が最も根深いのは、ウクライナ国内であろう。ただ国際的な注目度が高いために、外国人あるいは在外ウクライナ人が、ひっきりなしに盛り上げ役をやっているようなところがある。

「この戦争は終わらない」というこの界隈の従来からの主張にもかかわらず、あるいは停戦を口にする者に対する「親露派バスターズ」の活動にもかかわらず、戦争は停戦に近づいている。

しかしロシア・ウクライナ戦争の停戦後の平和構築の見込みは、非常に厳しいと感じる。日本はウクライナの支援に関与せざるを得ないが、甘い気持ちで関わると、痛い目にあうだろう。