「surrounded」というトランプ大統領が用いた言葉は、比較的漠然としたものであったと思われる。だが糾弾者たちの間では、これが示し合わせたように「encircled」という言葉に置き換えられた。そして、「完全包囲(encircled)されているウクライナ部隊はない、トランプはプーチンに騙されて間違った認識を披露している」という糾弾がなされる根拠とされていった。
トランプ大統領を糾弾している方々は基本的に、日ごろから停戦反対の立場をとって、プーチン大統領とトランプ大統領がコミュニケーションをとっていることそのものを非難してきる方々である。どんなものでもいいので非難する材料があれば飛びついて非難する、という姿勢なので、あまり内容のある言葉狩り論争ではない。
わざと一様に「surrounded」を「encircled」だと言い換えたうえで、「encircledされた部隊はない」といった、トランプ大統領とプーチン大統領の間のやりとりの実質的意味のある部分とは無関係なところでの言葉狩りをしてみせるのは、かなり操作的である。
トランプ大統領は「encircled」とは言っていない。ISWのコメンタリー部分はネオコンの本性丸出しだよ、って前から言っているのは私だけではないが、トランプ大統領就任以来、ほとんど匿名軍事評論家と同じになっている。BSYxjDdwMAwt5JFHJ B22I8rCB U5oKAxSJdr
— 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) March 15, 2025
要するに、何か停戦交渉につながる題材で、プーチン大統領だけでなく、トランプ大統領も糾弾できる話題がほしい、内容は何でもいい、と渇望している方々が、相当数存在しているのだ。そこには立派な評論家やジャーナリストや学者の方々までも数多く含まれている。