しばらく前から、日本において、これらの人々は「ウクライナ応援団」などと総称されたりしていた。だが今やウクライナの何を応援しているのか、定かではない。活動内容は、もっぱら他者の糾弾である。

もちろん糾弾対象の筆頭はプーチン大統領だが、今やロシア人全般が糾弾対象である。さらには少しでも「ロシア寄り」とみなせるような発言や態度を見せた人物は全てが糾弾対象である。プーチン大統領と会うことはもちろん、話をするだけで、「プーチン寄り」とみなされて、一斉糾弾の対象とされる。

外交関係の場面では、ハンガリーのオルバン首相や、モンゴルのフレルスフ大統領らが、「プーチンと会った」という理由で、激しく糾弾されてきている。欧州各国の国内社会でも「親露派狩り」の現象が顕著で、最近ではルーマニアで大統領選挙の最有力候補が「親露派的である」という理由で、立候補を禁止される事件が起こった。

同じような事情は、日本でも顕著に発生している。著名な言論人や政治家、あるいは華々しい業績のある学者であっても、「十分にロシアを非難してウクライナを擁護していない」という理由で、「親露派」の烙印を押されて非難の対象となってきた方々が、無数に存在している。

「ウクライナ応援団」とは、実態としては、「親露派バスターズ(撲滅団)」である。

留意すべきは、この「親露派バスターズ」が攻撃対象としているのは、単にロシア政府高官のような人物たちだけではない、ということである。日々のエネルギーの多くが、ロシアではない自分たちの社会の中の「隠れている親露派」の糾弾のために費やされている。

実際には親露派と言えるような立場をとっているのか不明な人物についても、時には「隠れ親露派」の烙印を押し、積極的にあぶり出し、犬笛を吹いて注目を呼び寄せて糾弾対象にしていく、という事例をいくつも作ってきている。「インフルエンサー」が、SNSで「〇〇は『闇落ち』した」といった宣言で犬笛を吹くと、一斉にフォロワーたちが扇動される、という具合である。