近くには、現在のユーラシア大陸と北アメリカ大陸がまとまった「ローラシア大陸」がありました。

そしてゴンドワナ大陸とローラシア大陸の間には「テチス海」と呼ばれる海域が存在していました。

ところが約1億2000万年前、インドは「インド大陸」として、ゴンドワナ大陸から分離し、現在のユーラシア大陸に衝突するルートを進み始めました。

インド大陸の移動ルート
インド大陸の移動ルート / Credit:Wikipedia Commons_インド亜大陸

これはつまりインドプレートの移動と、間に挟まれたテチス海とそのプレートの消滅を意味します。

結局、インドプレートは7000万年前にユーラシアプレートに接触し、その後5000万年もの間、衝突を続けたようです。

その衝突でできた隆起が現在のヒマラヤ山脈だと言われています。

そしてユーラシア大陸に合体したインド亜大陸の南には、現在のインド洋が形成されたのです。

これらは表面上の変化ですが、その下では、もっと強烈な変化がありました。

研究チームは、移動中のインドプレートが、テチス海を形成していた海洋プレート「テチアンプレート」の上を通過したと考えています。

テチアンプレートは、インドプレートの下に押し込まれていき、マントルの下へと沈み込んでいったのです。

地球内部と表面の温度分布。新説ではテラス海のプレートがマントルの下に沈み込んだことが原因で対流運動が発生。結果としてインド洋下のマントルから軽い物質が上昇し、重力の穴が作られたと考えられている。
地球内部と表面の温度分布。新説ではテラス海のプレートがマントルの下に沈み込んだことが原因で対流運動が発生。結果としてインド洋下のマントルから軽い物質が上昇し、重力の穴が作られたと考えられている。 / Credit:Debanjan Pal(IISc)et al., Geophysical Research Letters(2023)

結果としてマントル内で大規模な対流運動が発生。

プレートを「押し込んだ」代わりに、マントル内の比較的軽い物質が「押し出され」、地表に向かって上昇していきました。

最終的に、これらの物質はインド洋の下に流れ込み、現在の重力異常を作り出したようです。