しかし、アーセナルでは、むしろCB以外のポジションで見かけることのほうが多い。アーセナルのCBは、冨安より上背があることもしばしば。冨安もプレミアでCBでプレーするのに十分な体格を備えているが、それ以上に大柄の選手が揃っているのが世界最高峰プレミアリーグだからだ。
空中戦にも競り負けない大柄な身長と強いフィジカルがありながら、ピッチを上下に動き回る走力とアジリティと運動量があり、FBとしても高い能力を発揮する冨安。守備的MFでは、それに加えて巧みなボール捌きやビルドアップの能力も求められるが遜色なくこなす。
近年のゴールキック・ルール変更に伴い、ディフェンスラインからビルドアップする傾向が顕著になったため、足元でボールを捌く冨安の技量はさらに生かされることになった。

イングランドの守備陣の特異性にフィット
イングランドでは、キックオフから斜め前方に蹴り込む傾向がある。最初の競り合いは断然、守備側が有利だが、そのセカンドボールを拾おうという意図だ。ボールを大事にするチームは使わない手だが、イングランドではこれがキックオフのスタンダードといっていいほど主流だ。その空中戦では、FBも競り合うことになる。
キックオフはプレーが定位置から始まるので分かりやすいが、このように前方に蹴り込む状況判断は試合の各場面で頻発する。一か八かで相手ディフェンスラインにロングボールを入れてくる。いわゆるイングランドの伝統戦術「キック・アンド・ラッシュ」だ。
また、全般的に大柄の選手が多いだけではなく、大きい選手を好む傾向がある。それは、空中戦やフィジカルを全面に出した競り合いの多さが理由だ。
ディフェンスラインの4枚と守備的MF2枚の合わせて6人が、他国リーグに行ったらCBの適性がある、というラインナップもしばしば見受けられる。これが、イングランドにおける守備陣の特殊性である。